次は序盤戦最後の一番といえるでしょう。
先に入ったのは、徳之島から導入した又三郎。
十歳ですが、まだ山古志の環境に慣れていません。
綱を付けての対戦は、それが理由です。
黒い毛のなかに、白い毛が少し混じっている又三郎。
このような牛は「粕毛牛」と呼ばれます。
この紹介の間、又三郎は大声で唸り続けています。
そのあとは鼻息を荒くしました。ハッキリ聞こえます。
これにはお客さんが大喜び。拍手で讃えました。
後から入場はふぶきです。
又三郎が大きな声を出したのは、ふぶきを見たから。
相手の牛を認識し、戦闘モードに切り替わりました。
早くも威嚇して、横向きに睨みつけます。
ふぶきのほうは、前足で土を掻き上げる仕草。
こちらも、気合十分なところをアピールしています。
ゲートの閉まる音。
第四回:又三郎(十歳/山古志)-ふぶき(六歳/和泉)
横を向いた又三郎を見て、ふぶきが少し考えました。
足を止めています。
迂闊に飛び込むと切り返される、自分の隙を見つけられる。
そう感じているので、飛び込めません。
お互いが、相手の隙がないかを探っているようです。
ガツン!おお〜っ。ゴツン!きゃ〜!
又三郎、右から左から角を振る!
ガンッ!
再び又三郎が角を振ります。
足の踏ん張りがすごい。力の入ってるのが解ります。
ガツン!ひゃ〜!
仕掛けるほうも、受ける方も。力が入っています。
「ちょっとでも隙があれば相手に攻められる」
両牛はそう判断しています。絶対に隙を出さない形。
牛が「硬くなっている」状態です。
カンッ、ああ〜っ
又三郎、左角を振ります。ふぶきはすっと下がって躱す。
ここで綱が引かれました。引き分けです。
「これ以上闘いが白熱すると、勢子が綱を持てなくなる」
という判断です。怪我の恐れもあるでしょう。
気合の入った角の闘い。場内は大きな拍手に包まれました。
それでも、まだ客席はざわめいています。
「すごいねぇ」「すっげぇ」そんな声も聞こえてきました。
両牛は、相手を見て威嚇しています。
「オレはお前には負けないんだ!」そう言っているようです。
こうやって、牛には意地が生まれます。
それを勢子が、意地をもって捕まえるわけです。
又三郎、ふぶきの順に引き上げました。
ふぶきは、場内に又三郎がいる間は威嚇していました。
しかし姿が見えなくなったので、静かに引き上げました。
総カット:102
実況&解説:松田さん(山古志闘牛会)
↑激しい闘いでした。左が又三郎。凄い睨み合い。
↑開始直後のふぶき。穏やかな目線を向けてます。
↑「どうだ!」とばかりに覗き込む、又三郎です。
↑睨み返すふぶき。又三郎、ちょっと驚いた表情。
↑突進する又三郎。ふぶき、よく受けていますね。
↑ふぶきの前足、力の入っているのが解るシーン。
↑横から入った又三郎。綱がふぶきの顔に絡んだ!
↑ふぶきの目元。意志が強そうな瞳を持ってます。
↑これは強烈。。。又三郎のすごい一発が入った!
↑なおも押そうという又三郎。ふぶきは考え中か?
↑頭を付けて押す又三郎。ふぶき、圧力に耐える。