10/11 山古志闘牛 六蔵-山闘

続いては、黒牛同士の戦いです。毛の色は同じですが、出身地は異なります。
そして、特徴があるのでしっかり見分けられます。山闘は白い毛が混じって、
六蔵は毛がもじゃもじゃしています。年齢は揃って七歳。それぞれ頑張ろう。

第八回:六蔵(七歳/池谷)-山闘(七歳/山古志)

先に入場は山闘。沖縄から導入した牛です。入ってくるなり土と戯れました。
そして、歩きながら大きな声で唸ります。唸る唸る!怪獣のようです。
これに場内からは驚きの声。拍手する人もいました。
しかも、声が甲高い。よく通ります。これだけで覚えてもらえそうです。
後から六蔵が走ってきました。こちらは岩手県から導入の牛です。
早速角で地面を掘り、首を振ってアピールしました。

さぁ、両牛が近付きます。頭を合わせ。。。
ブゥ〜ッ。
なんと、山闘が睨み付けてから鼻息で威嚇しました。六蔵はビックリ。
サッと横に逸れ、数歩後じさりました。
もうすでに駆け引きが始まっているんですね。
しかし、六蔵は驚いただけ。ビビッたわけではありません。
その後はきっちりと頭を合わせて、取組開始。
それぞれが相手の出方を伺っています。
この年齢になると、牛それぞれの雰囲気、型が出てくるようになります。
さきほどの、山闘の威嚇もその一つといえるでしょう。
それまでの経験から、牛が生み出した戦法になるのです。
角のぶつかる音が場内に響きます。勢子も声を出し始めました。

最初はビックリした六蔵ですが、頭を合わせて考えます。
「どうやって攻めようかなぁ」
会場のお子さんが、楽しそうに何か話しているのが聞こえてきます。
しかも複数です。いつもに増して、お子さんが多い印象でした。
勢子の声。「はいっ。」カンッ。
六蔵がスッと前に詰めようとしました。
山闘、右角を六蔵の額の真ん中に当てて、その出る力を殺しました。
なかなか肉眼では解りづらいですが、牛が細かく角を使っての攻防です。
双方、自分の角を相手の角の下に入れてから仕掛けたいところ。
掛け技がダメなら、上から押さえ込む。馬力で出ようとします。
「相手をどうやったら有効的に攻められるのか。」
いろいろと考えて、お互いが向かって行きます。動く音が聞こえてきます。
牛はそれだけではなく、足の配りにも気を使います。
これが悪くなってしまうと、たちまちバランスを崩して攻められるからです。
山闘、仕掛ける。しかし六蔵がそれを上から押さえつけました。
やや静かな展開。双方に隙がなく、なかなか攻め込めない状態です。
無理に仕掛ければ、相手に隙を与えてしまう。これを牛は理解しています。
ガンッ、ちょっと大きな音がしました。激しくぶつかっています。
角のぶつかる音が、断続的に何度も聞こえてきます。

時間いっぱい。勢子が分けようと飛び込みます。
まずは山闘の後ろ足に綱が掛かりますが、六蔵はこの時点ではフリー。
直後に綱はかかったようですが、山闘が六蔵に押し込まれました。
いったん離れた両牛ですが、なんと六蔵は戻ってきて、再び頭を合わせます。
再び山闘に綱がかかりましたが、六蔵は後ろ足を使って走っています。
勢子もなかなか追いつけません。
客席から「がんばれがんばれ」と声が掛かります。
綱が掛かっている山闘、タイミングを見計らって六蔵を押し込みました。
つまり、やり返したんですね。意地を見せました。
ようやく六蔵にも綱がかかりますが、振り払って小走りで移動します。
たまたま客席にいた別の勢子も手伝い、鼻を取られました。拍手、拍手。
最後の勢子との攻防は見応えがありました。綱を掛けるのもたいへんです。

最後のシーン、両牛力を振り絞りました。
勢子が引き分けに入る瞬間を、牛が狙っていました。
後ろ足に綱が掛かるのを、牛は知っています。
つまり、相手の足にも綱が掛かる。
一歩先に自分が攻め込めれば、相手は動けなくなっているかもしれない。
経験を積んだ牛ほど、勢子が動くのを待っていることがあるのです。

拍手に包まれ、六蔵、山闘の順に引き上げました。

※動画は山古志闘牛会のYouTubeチャンネルで。登録もお願いします。
※記事作成にあたり、MC勢子・松田さんの解説を参考にしています。
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↑左が山闘。右の六蔵は、もじゃ毛が特徴です。意外とわかりやすい。
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↑開始直後。最初はビックリした六蔵でしたが、堂々と組んでいます。
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↑山闘の押さえつけ攻撃。それにしても、いい顔ですね。素晴らしい。
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↑六蔵の左角ストレートが見事、山闘に炸裂!めり込むほど強烈です。
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↑さきほどの一発で、目が覚めたような山闘。凄むほどの目線でした。
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↑山闘、怒りの押さえつけ攻撃。目線は絶えず六蔵に注がれています。
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↑これは衝撃の一発。六蔵の角の先が、山闘の目元を直撃しています。
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↑やや引きのショット。攻めようとする山闘と、踏ん張っている六蔵。
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↑こちらは逆バージョン。足を広げて踏ん張っているのは、山闘です。
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↑ぶつかる両牛。六蔵の頭が山闘の顔にめり込んでいるかのようです。
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↑またもド突き合い。砂埃ならぬ、火花が散っています。目元も赤い。
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↑六蔵を、上から押さえつけてやろうかという山闘。いい顔してます。
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↑そろそろ終盤。六蔵もいい顔をしています。角が交錯する一瞬です。
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↑今度は六蔵が押さえつけ攻撃。目が赤くなり、気迫の籠もった一撃。
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↑六蔵の角の切っ先が山闘の目の前に。それでも怯みません。強いぞ。

(1D X /EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM)

by keiji_takayama | 2020-10-19 10:20 | 山古志闘牛場 | Comments(0)

都内中古カメラ店スタッフ。動物園撮影は20年が経過しましたが、ここ数年は山古志の闘牛写真がメイン。全取組を写真で紹介しています。かつてはクラブツーリズムの撮影ツアー講師でした。


by keiji_takayama
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