9/20 山古志闘牛 龍勢-柿乃花怒濤 前編

闘うことが本能である「闘牛」ですが、写真をすべて見返してみても、

この日の龍勢は怒っていたのではないかと感じました。撮影していて、

ずっとそれを思っていました。煮えたぎるような、もの凄い悔しさに。 

 

第四回:龍勢(六歳/秩父)-柿乃花怒濤(五歳/岩手) 前編 

 

この一番から、綱を取っての対戦になります。

まずは柿乃花怒濤の入場。やや小走りですが、おとなしめです。

土の臭いを嗅ぐような仕草を見せ、そのまま静かに佇んでいます。

後から龍勢が入りました。角で土を掘り、そのまま相手に向かいます。

解説の松田さん、「これはかなり激しいと思いますよ、最初から。」

鼻に付けられていた綱が取られ、龍勢が柿乃花怒濤に向き合った、

その瞬間。

柿乃花怒濤が先制攻撃。佐野さんは「フェイント! 」と表現しました。

龍勢は押されたあと、首を小刻みに動かします。怒りに震えたか。

しかし龍勢はこれで構えました。

「これはもう気が抜けない相手だ」そう判断したからです。

柿乃花怒濤は再び攻撃を仕掛ける、龍勢の前足が浮きました。

場内からも「おうおうおお〜」と、ざわめく声が聞こえてきます。

佐野さん「まさに怒濤の攻めだ !

しかし龍勢は、跳ね上げられても体の柔らかさを保ち、これを受けます。

決定的に押し込まれる、というわけではありません。

柿乃花怒濤は速攻型。相手に隙があったらどこからでも攻め込みたい。

これを受けながら、龍勢も切り返して前に出るシーンがあります。

「もうこれは、受けてばかりもいられない。」龍勢はそう感じたようです。

足の踏ん張りを見ると、力が入っているのが解ります。

柵の近くは場所が良くないと解っているので、中央に出たいのです。

龍勢、左角で柿乃花怒濤の右角を下から引っ掛け、出ようとしました。

しかし、角が外れた瞬間を柿乃花怒濤は見逃さず、逆に切り返す。

龍勢が足を運んだ場所が少し悪かったようで、バランスが崩れました。

これで角が外れ、そこを柿乃花怒濤が一気に攻めた、という展開。

足の配り一つを取っても、牛は全神経を集中させるのです。

双方、ともに勝負を賭けている状況。

そして、相手を見ているので黒目が前に向いています。

柿乃花怒濤は下から跳ね上げたい、龍勢は首で押さえつけようとします。

角のぶつかる音が場内に響き、どよめきが起きます。

勢子の声も響きます。

柿乃花怒濤、下から突き上げようとする。

龍勢は首を預けた状態から、これを返したい。

動きが激しくなってきました。ドン、ドン、ドンと、三度頭をぶつけ合う。

場内も一気にヒートアップしました。 

 

さぁそして時間いっぱい。勢子が飛び込んで分けようとします。

角のぶつかる音。勢子の走る音。両牛はまだ闘いをやめません。

牛と勢子の駆け引き。

勢子が鼻を取り、ようやく牛を分けました。大きな拍手が場内を包みます。

龍勢はそれでもまだ、闘おうとしました。どうも納得していない様子。

足に綱を掛けられるのを嫌ったのかもしれませんが、何度か押されたし、

怒り心頭だったようにも感じ取れました。因みに龍勢のほうが1つ年上。 

 

どうやら龍勢は、最後のワンチャンスを狙っていました。

切り返して飛び込んだら、勢子が引き分けようと入ってきたのです。

まだやりたかった、どうにも面白くない。そんな状況だったようです。

とはいっても、まだ若いですから無理はさせられません。

それが勢子の判断です。でも、とてもいい角突きでした。自然と拍手が。

引き回し。両牛はそれぞれ相手から目を離しません。

龍勢、柿乃花怒濤の順に引き上げました。

そしてこの取組は、2部構成です。ハイライトがとても多かったですね。

この前編は最初の写真から最後まで、222秒しか経過していません。

たったそれだけの時間で、ここまでのドラマが繰り広げられるわけです。

一瞬たりとも、ファインダーから目を離せません。撮るのも闘いなのです。

(つづく) 

 

※参考: MC勢子・松田さん(解説) FMながおか・佐野さん(実況)

※動画は山古志闘牛会のYouTubeチャンネルで。登録もお願いします。

9/20 山古志闘牛 龍勢-柿乃花怒濤 前編_b0016600_00261192.jpeg

↑左が龍勢。柿乃花怒濤の顔が逆「く」の字です。余計な心配しそう。

9/20 山古志闘牛 龍勢-柿乃花怒濤 前編_b0016600_00264213.jpg
柿乃花怒濤の先制攻撃。速い!龍勢は柵際まで一気に押されました。
9/20 山古志闘牛 龍勢-柿乃花怒濤 前編_b0016600_00271079.jpg
「ゴッツーン」音が聞こえてきそうです。思い切りぶつかった瞬間。

9/20 山古志闘牛 龍勢-柿乃花怒濤 前編_b0016600_00273643.jpeg
龍勢は冷静に、闘志を滾らせている感じ。怒濤はそれを感じたか ?
9/20 山古志闘牛 龍勢-柿乃花怒濤 前編_b0016600_00280491.jpeg
ところが、またしても怒濤に押し込まれる龍勢。今度は逆サイド。
9/20 山古志闘牛 龍勢-柿乃花怒濤 前編_b0016600_00283335.jpg
回り込んで体勢を立て直した龍勢。再び両牛が頭を合わせました。
9/20 山古志闘牛 龍勢-柿乃花怒濤 前編_b0016600_00290872.jpg
龍勢の表情が「大魔神怒る」のようです。怒濤はちょっと様子見?
9/20 山古志闘牛 龍勢-柿乃花怒濤 前編_b0016600_00293119.jpeg
びっくりした表情を浮かべる柿乃花怒濤。横から一睨みの効果か。
9/20 山古志闘牛 龍勢-柿乃花怒濤 前編_b0016600_00295511.jpeg
「今度はこっちから行くぞ!」そんな感じの龍勢。気合入ってる。
9/20 山古志闘牛 龍勢-柿乃花怒濤 前編_b0016600_00301877.jpeg
怒濤の角が龍勢の目元に。年下ですが意地はある。負けてません。
9/20 山古志闘牛 龍勢-柿乃花怒濤 前編_b0016600_00304418.jpg
迫り来る龍勢に、ちょっとたじろいだ表情の怒濤。やはり攻撃型。
9/20 山古志闘牛 龍勢-柿乃花怒濤 前編_b0016600_00310938.jpg
再び頭を密着させる両牛。しかし、今回は顔のラインが真っ直ぐ。
9/20 山古志闘牛 龍勢-柿乃花怒濤 前編_b0016600_00314032.jpg
短距離ですが、また押された龍勢。怒りの表情?を浮かべてます。
9/20 山古志闘牛 龍勢-柿乃花怒濤 前編_b0016600_00321038.jpeg
龍勢、怒濤ともに、目の周りが赤くなりました。まさに真剣勝負。
9/20 山古志闘牛 龍勢-柿乃花怒濤 前編_b0016600_00323421.jpeg
体勢が変わって、龍勢が右側に。両牛とも黒目は前を向いてます。

(1D X /EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM)

by keiji_takayama | 2020-09-25 00:33 | 山古志闘牛場

いつもは中古カメラ店でカメラやレンズを売ってます。休日になると、望遠レンズを担いで各地の動物園や闘牛場で撮影活動。動物たちの表情を追い続け16年が経過しました。旅行会社で撮影ツアー講師を務めています。


by keiji_takayama