古いといっても、当時はフラッグシップだったモデルだ。
発売は1973年。絞り優先AEとマニュアルで撮影することができる。
AEで撮るためには専用の交換式ファインダーが必要だ。
70年代のカメラというと、名前が出るのはニコンF2とキヤノンF-1。
それぞれ1971年の発売である。加えて、コンタックスRTSだろうか。
しかしこのX-1は後発、しかも機械式シャッターはBと1/100という
当時としては信頼性にやや乏しいスペックながら、価格は高かった。
つまり、積極的に選ばれる理由が少ないということになる。
そんなわけで当然あまり売れず、失敗作とも言われた。
だが、こういうのにむしろ惹かれるのだ。クルマの好みもそうだけど。
F-1とF2を手に入れたあと、この時期のカメラで最も欲しかった。
中古市場では、マトモに動いている商品は極端に少ない。
例えばいまそうだとしても、将来的に壊れてしまうケースも多いだろう。
ところが、メルカリやヤフオクでの取引価格はけっこうな額だ。
「ジャンク」と表記しても、1万円以上で落札されているようだ。
持っている人が部品取りで手に入れるのかもしれない。
所有しているX-1は、ある意味そうした類いに入ると思う。
ひとまず動作はするが、何コマか切るとミラーが上がって戻らない。
撮影ができなくなる。と思ってしまうだろう。
しかしこのカメラ、ミラーが上がっても戻すことが可能なのだ。
それは簡単、電池蓋を開ければいい。これでミラーは復元する。
シャッターが切れてさえいれば、この動作をすれば撮影は可能なのだ。
探し始めてからけっこう時間はかかったが、ようやく手に入れた。
しかしこのカメラ、さすがに出番は多くない。
試し撮りして、AEがそこそこ信用できることは解ったけれど。
そして先日、メンテナンスのために動かしたらミラーが上がった。
いつものように復元を試みる。これを何度か繰り返すことに。
認識しているより頻度が高く、おかしいと感じたが遅かった。
ある時を境に、これが全く戻らなくなってしまったのである。
これはさすがに痛い。しかし、誰のせいでもない。
仕方がないので、電池を抜いてそのままにしておいた。
今年に入って、どうにかならないかと再び手に取ってみる。
電池を入れて、祈るような気持ちで復元を再度試みた。
カシャッという小さな音とともに、なんとミラーがちゃんと戻った。
これは有り難い。いまのところ、今年最大の「良いこと」に入る。
以後は数日ごとに、リハビリではないけど動かすようにしている。
それと、ファインダーの接点を掃除した。けっこうここが弱い。
これで今のところ、100回ほどシャッターを切ったが好調である。
36回切ると少なくとも1回は上がりっぱなしになったが、それもない。
けっこう調子が良くなってしまった、と書くのはまだ早計だけど。
近いうち、動物園で撮ってみよう。レンズはもちろんMCロッコール。
(OM-D E-M1/NewFD 500mm F4.5L)