11/3 山古志闘牛 山仁-平畑 前編

第九回:山仁(八歳/大阪)-平畑(十五歳/池谷)

平畑は、この千秋楽に出場している牛のなかで最高齢になります。
島根県の隠岐の島から導入した牛。特徴的な角を持っています。
まずは平畑の入場。
池谷というのは、山古志闘牛場のある集落になります。
そしてこの平畑さん、ずう〜っと牛を飼っています。
昭和40年代に角突きが途絶えていた時期がありましたが、その時にも
唯一牛を飼っていたのが平畑さん。それがきっかけになり、昭和48年に
復活しました。そして53年には国の文化財に指定されています。
ずっと牛を可愛がっていたおじいさんは亡くなってしまいましたが、
おばあさんが「最後まで面倒を見る」ということで、大事に飼育しています。
そして、後から入場の山仁。
大阪から家族の皆さんがやってきました。
自分の牛がいい角突きをしてくれるように。そう願っています。
ゲートが閉まりました。さぁ取組が始まります !

勢子が両牛を連れてきて、頭を合わせます。
山仁は囂々と低い声を出しています。
「オレに早く闘わせろ、角突きをさせろ ! 」とアピールしているようです。
平畑がまずは頭を下げて、上に伸びた長い角を使って間合いを取りながら、
山仁の額を攻めます。これに対して山仁、瞬間的に距離を詰めました。
平畑の長い角を使わせないようにして、一発仕掛けます。
角のぶつかる音。勢子も大きな声を出して、両牛をの気持ちを高めます。
双方の角先の攻防。
相手の額、角の根元をどうやって痛めようか、考えつつ角を振る両牛です。
頭を低く下げて、平畑は長い角を槍のようにして使おうとします。
山仁はサッと動きます。できればこの角を正面からもらわないように。
牛同士、一生懸命考えながら、動いて、相手の攻めをかいくぐって。
自分の攻めに繋げたい。
そのためには正面からだけではなく横だったり、角だけではなく鼻や体を
使ったり。牛が自らの持っている技を考えて、相手に立ち向かうのです。
平畑はベテランらしく、自分の長い角を有効的に使っていきます。
山仁はというと、距離を詰めて一気に前に出ます。
平畑の長い角が外れた瞬間に、双方が飛び込もうとします。
勢子の大きな声、手拍子も聞こえます。これが雰囲気を盛り上げます。
平畑、じわりじわりと前に出ます。それを山仁が切り返す !
右角で掛ける平畑、これが外れた瞬間に山仁は飛び込みたい。
ところが、平畑は掛けた角を外させません。
平畑は角を掛けたまま前に出る、山仁は土手を使ってうまく回り込みます。
角がぶつかる音が響きます。そして勢子が走り出します。
お子さんでしょうか、「いけ!いけ!」と興奮した様子で叫んでいました。
そして大きな拍手。
平畑の引き上げ。おばあちゃんが連れて歩きます。
その手には、最後まで牛のことを可愛がっていたおじいちゃんの遺影が。
これは実に感動的なシーン。拍手がいっそう大きくなりました。
平畑、山仁の順に引き上げました。

牛の年齢に「5」を掛けると人間のそれに近くなる。ということで。
平畑は十五歳なので、この法則によると75歳になります。
え、75歳 ? スタローンやシュワルツェネッガーみたいなもんだ。
これはすごいなぁ(笑)
いやはや、取組直後の先制攻撃なんて、まんまやる気盛りの牛です。
的確に、山仁に角を打ち込んでます。
平畑がとても元気なシーンが目に付きました。
山仁の角が目元スレスレに届いているカットも、まだ余裕があります。
とても元気な平畑。フレームから山仁を追い出しそうな勢いです。
お年寄り牛の扱いをしたら、怒られてしまうかもしれませんね。
なので、山仁も手を抜きません。力を出して、頭からぶつかります。
これにはさすがの平畑もちょっと怯みましたが、すぐに表情は戻ります。
攻防があり、その後がっぶりと組み合う、これが繰り返されました。
迫力のある写真がいくつか出てきて、選ぶのが楽しい取組です。
それにしても、平畑は相手のことをよく見ています。
年齢を重ねることによって視力が著しく低下している身としては、
このあたりのコツといいますか、対処方を教えて欲しいくらいです。

この一番、なんと300コマオーバーでした。
それだけいいシーンがあり、押さえようと必死になりました。
山仁の角の先が目の正面に迫っても、平畑は目を瞑りませんでした。
この気迫、凄いものがありました。
とにかく頭を低く下げる平畑に、山仁がちょっと苦戦の様相。
この山仁、大阪のイメージがよく合う、強い印象の牛なのですが、
今回は平畑の圧力のほうが目立っているように感じます。
そして、実はまだ取組は中盤あたり。でも選んだカットは13。
まだ半分残っているというのに、楽しいけれど悩む写真選びです。

で、ざっと後ろの写真を見てみましたが、たぶん足りません。
載せたいカットが多いです。ボツにするのはあまりに忍びない。
というわけで、前編後編に分けることにしました。
ここまでが前編です。後編は写真が中心になりそうです。
※記事作成にあたり、MC勢子・松田さんの解説を参考にしています。
                       
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↑左:山仁、右:平畑。このような迫力シーンの連続でした。写真選びも難航。
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↑開始直後の平畑。早々と先制攻撃を仕掛けます。動きも速かった。
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↑距離を詰めて一発やり返す山仁。こちらは角の根元に入りました。
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おお、平畑の目元に角が ! ヒヤリシーンですが、まだ平畑には余裕も感じます。
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↑とても元気な平畑。画面から山仁を押し出しそう、そんな雰囲気です。
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↑山仁だって負けていません。頭からぶつかると、平畑の表情が変わります。
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↑平畑の角、上に向かって伸びているのが解ります。とても立派な角です。
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↑そして平畑の角は長い ! 多少距離があっても、届いてしまうのです。
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↑頭を低く下げると、角でそのまま押さえつけることもできます。目がすごい。
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↑睨み付けて、しっかりと相手のことを見ています。この姿勢を貫きました。
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↑山仁、距離を詰めます。この角をそのまま喰らったら、えらいことになりそう。
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↑前に出ようとする山仁を、角で防御する平畑。突破するのは難しそうです。
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↑目の前に相手の角の切っ先が。一瞬ドキッとするシーンでした。
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↑また睨み合う両牛。平畑の気迫は最初から全く変わりません。
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↑いったん離れました。次の展開を考えているのでしょうか ?
(7DMarkII/シグマ C 100-400mmF5-6.3 DG OS HSM ) 

後編に続く
by keiji_takayama | 2019-11-20 01:24 | 山古志闘牛場

いつもは中古カメラ店でカメラやレンズを売ってます。休日になると、望遠レンズを担いで各地の動物園や闘牛場で撮影活動。動物たちの表情を追い続け16年が経過しました。旅行会社で撮影ツアー講師を務めています。


by keiji_takayama