10/23 山古志闘牛 一颯-羽黒山

第八回:一颯(九歳/八王子)-羽黒山(八歳/大久保)

まずは羽黒山が堂々の入場です。拍手に包まれました。
この「羽黒山」という名前。闘牛場に来るとき、皆さんはトンネルを
通ってきたはずです。一方通行同士、穴が二つ開いているトンネルです。
このトンネルが開いている山、これこそが正しく「羽黒山」なのです。
そしてあとから、一颯がやってきました。
羽黒山がゴォ〜ッ、ゴオ〜ッと唸り声(どう声)を出しています。
これに一颯が、同じく唸り声を出して応えます。
赤牛が羽黒山、黒牛は一颯。取組が始まりました。

おっ、なんだろう。場内から笑い声が聞こえてきました。
すぐに勢子の皆さんが掛け声を投げます。「よしたー、はい、はい ! 」
双方の角の形を見てみると、極端な違いがあります。
一颯は下の方に下がっていて、羽黒山は前の方を向いています。
そして使い方。羽黒山は一颯の角の下に自分の角を入れて使いたい。
一颯のほうは当然、羽黒山の下に自分の角を入れたいのは同じですが、
羽黒山に掛けられるときに、上から角を使っています。
大相撲の「小手投げ」の要領ですね。上から角を押さえてしまう。
こういう使い方をする牛は、最近数が少なくなってきました。
羽黒山が左角で掛けようとしたところ、一颯は掛けられた右角を押さえて
出ようとする。勢子の声がずっと響いています。これが耳に心地よい。
「それいけ ! 」
羽黒山は何とか仕掛けたい。仕掛けたいのだけど、迂闊に仕掛けると、
一颯の角を自分の角の上からもらってしまう。なので、慎重に攻めます。
羽黒山が仕掛けてこないので、一颯「じゃあオレから行くぞ ! 」
プレッシャーを羽黒山にかけながら、じわりじわりと前に出ようとする。
双方が自分の角の形をよく理解して、それぞれの持ち味を発揮しようと
しています。勢子の拍手、声が飛ぶ。一颯の角は羽黒山の目を狙います。
ゴンッという音。やがて場内がざわめき、勢子の走る音に続いて拍手。
両牛が分けられました。
引き回し。綱をキレイにピーンと伸ばす、勢子の技術が見られました。
これ、望遠使いにはなかなか難しいのですが、とても絵になります。
一颯、羽黒山の順に引き上げていきました。

開始直後から、お互いいい表情で睨み合いました。目力がすごい。
序盤のカットを見ていると、羽黒山は飄々とした雰囲気があるのですが、
すぐにそれは誤解だと気付きました。気合の入った表情を見せます。
その後は角を絡めて、顔をくっつけての攻防が見られました。
一颯は随分と気合が入っていて、終始闘うオトコの目をしていました。
ギロリと相手を見据え、睨み続けています。これはカッコいい。
羽黒山は落ち着いているというか、けっこうポーカーフェイスです。

それにしても、一颯の角はなかなかうまくできていて、角で閂のように
羽黒山を締め付けているシーンも。長時間キマると、さすがに厳しそう。
凄かったのは終盤の攻防でした。
まずは一颯。頭突きと同時に、角を羽黒山の目元後ろ付近に刺しました。
これはさすがに痛かったのか、さすがの羽黒山も目を瞑っています。
しかしその僅か数十秒後。
今度は羽黒山が全く同じことを一颯に返していました。
これぞ意地。
パソコンの前で、「すげーよこれ。。。」と呟いてしまいました。
角突きの内容は勿論ですが、それぞれの表情も印象に残る一番でした。
※記事作成にあたり、MC勢子・松田さんの解説を参考にしています。

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↑左:一颯、右:羽黒山。お互いの意地を感じるシーンが多く、興奮度が高い取組。
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↑開始直後からこれです。羽黒山の目線がすごい。
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↑少しポーカーフェイスな羽黒山。落ち着いた、どっしりした雰囲気があります。
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↑羽黒山が攻撃してるところ ? でもやっぱり、余裕があるように見えるのです。
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↑こちらは一颯。やる気満々の表情です。これが最後まで続きました。
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↑がっぷり組み合いました。一颯のほうが一つ年上ですが、どうも逆に見えます。
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↑下から羽黒山は仕掛けたいけど、一颯が上から狙っています。
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↑一颯の攻撃を、落ち着いて受ける羽黒山。一颯は気合十分です。
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↑「羽黒山がロケット攻撃をしたところ、受け止める一颯」に見えてしまう。。。
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↑一颯の下に伸びた角は、こんな使い方があるのか ! 締められたらヤバイぞ。
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↑お互い顔を接近させて、迫力のシーン。ここは一颯のほうが落ち着いてる ?
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↑目を充血させる一颯、足を曲げて攻撃を受ける羽黒山。
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↑「オレは負けないぞ」「オレだって負けないぞ」なんだか会話しているみたい。
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↑まずは一颯。頭突きと角のダブル攻撃です。これはたまらん。。。
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↑し、しかししかし ! なんと羽黒山も同じ攻撃でお返し。これはすごかった !
(1D X /EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM)
by keiji_takayama | 2019-11-08 00:54 | 山古志闘牛場 | Comments(0)

いつもは中古カメラ店でカメラやレンズを売ってます。休日になると、望遠レンズを担いで各地の動物園や闘牛場で撮影活動。動物たちの表情を追い続け20年が経過しました。旅行会社で撮影ツアー講師を務めています。


by keiji_takayama
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