10/23 山古志闘牛 八剣志-斬鉄

第七回:八剣志(十歳/山古志)-斬鉄(五歳/山古志)

この一番、取組を決める際に悩んだそうです。
場所の取組は、10日ほど前に審議会を開いていったん決めます。
しかし、その後様々な理由により牛が出場を取りやめることがあります。
それによって、取組の変更・中止があるのです。

当日、角突きを始める前に勢子が手を叩き、その日の取組を決定します。
勢子が手を叩いたので取組は決定しましたが、年齢差が大きいです。
そして、斬鉄は後ろ足に綱を掛けるのを嫌う牛です。
加えて平日開催。勢子の数も、いつもより少ないんですね。
勢子の安全という点もあり、この取組は綱を付けての対戦になりました。

先に入ってきたのは斬鉄。地面を掘る仕草を見せました。
自分の角や首を鍛えたり、臭いを付けて「ここはオレの場所だ ! 」と
アピールするかのようです。そしてあとから八剣志が入ってきました。

取組開始。
頭を合わせた瞬間から、双方が相手の牛の力量を見ました。
「ドシン ! 」と音がして、客席からはおお〜。。。と声が聞こえます。
八剣志のほうが年だけでいえば斬鉄の倍です。
この若い斬鉄を構わないのかと思いきや、力があるというところを牛が
瞬時に見ました。ですので、先に仕掛けたのは八剣志です。
斬鉄は、八剣志の仕掛けを落ち着いて受けています。
その間にも、ゴツゴツという角の当たる音がしています。
八剣志は自分の長い角を使って、下から、またはうまく距離を作って、
自分の角を使おうとします。斬鉄は、できればこの距離を詰めて、
八剣志の長い角を逆に邪魔にさせたい。しかし、飛び込もうとすると、
うまく角を使った八剣志が、掛け技から横を取ろうとします。
従って、斬鉄も無理には仕掛けられません。
八剣志はうまく斬鉄の角の下を取って、斬鉄の顔を横に向けさせます。
で、斬鉄のほうが体が大きく体重がある分、首を預けて八剣志の力を
受け止めています。斬鉄もスキがあったら飛び込みたい。
しかし、八剣志にはなかなかその隙がありません。
八剣志はここから、斬鉄の首に飛び込みたい。
斬鉄はこの首をできれば返して、逆に八剣志の顔を横に向けさせたい。
ここで客席がどよめき、「おおーおおおおー」という声が聞こえます。、
斬鉄の角を跳ね上げて、逆に落ちたところを八剣志が仕掛けます。
斬鉄はこれを、首を返して飛び込みたい。
(客席で赤ちゃんが大泣きしています。場内に泣き声が響きます。)
勢子が声を掛けて両牛を鼓舞しました。やがて走る音が聞こえてきます。
真剣な声と緊張感。そして拍手。
両牛は離れましたが、若い斬鉄はまだまだ気合が入っています。
相手を睨みました。しかし、ベテランの八剣志は落ち着いています。
それでも、相手からは目を離しません。まるで会話しているようです。
若い斬鉄にとっては、よい経験になったのではないでしょうか。
こういう経験を糧にして、素晴らしい牛になってもらいたい。
そんな思いです。八剣志、斬鉄の順に引き上げました。

ファーストコンタクトから両牛気合が入っている様子です。
がっちり組み合い、それぞれが相手を睨み付けています。
黒牛同士ですが、八剣志のほうが角が長いので、見分けやすいですね。
それにしても、八剣志の角は長いです。比べてみるとよく解ります。
気合十分の斬鉄ですが、試合経験は八剣志のやはり上かなと。
逆に斬鉄を横にして押し込もうとしているようです。
八剣志は角の長さもあるし、経験豊富。角を当てる回数も多いです。
しかし、斬鉄がそれに怯まないのが立派でした。
目つきが全く変わりません。
むしろ、やられると闘志が燃え上がるタイプのようにも感じられます。
そして、途中から斬鉄の角も入るようになりました。
偶然なのか戦略なのか、少し体を右にずらした位置から攻撃しています。
こうなると、八剣志の長い角も当たらない。
たった2秒間のシーンですが、この間に双方が二回ずつ、相打ちが一回。
これだけの、角当ての応酬がありました。これは肉眼では解らないなぁ。

やがて体勢が入れ替わり、八剣志が右側に位置します。
八剣志は角の使い方がさすがに上手で、的確に当てているようにも。
しかし斬鉄は、立ち位置が変わっても気合の入ったところは変わりません。
そして再び、角当ての応酬。柔軟に対応する斬鉄が印象的でした。
この展開は終盤まで続きます。斬鉄の表情は全く変わりません。
そして両牛とも集中力を切らさず、時間いっぱいまで闘いました。
※記事作成にあたり、MC勢子・松田さんの解説を参考にしています。

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↑左が斬鉄、右は八剣志です。斬鉄はかなり気合が入っていて、いい闘いっぷり。
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↑こうして角を比べてみると、八剣志の角がとても大きいことが解りますね。
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↑突入しているのか押されているのか、前足が宙に浮いていました。
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↑さりげなく、八剣志の角の先が当たっています。しかし斬鉄は怯みません。
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↑斬鉄の角が、八剣志の角の根本付近を捉えました。さすがに痛そうです。
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↑斬鉄、気合の一発。右角が八剣志の額中央を捉えます。八剣志はビックリ ?
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↑中盤あたりです。斬鉄は全く表情が変わりません。とてもタフな牛です。
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↑ちょっと疲れたかなと思いきや、そんなことはなく攻撃を仕掛けていきます。
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↑斬鉄も的確に角を当てていきます。タフさにはビックリです。カッコいい。
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↑頭を低くして、斬鉄の攻撃を受ける八剣志。落ち着いた表情です。
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↑今度は横から仕掛ける(?)斬鉄です。積極的な動きが目立ちます。
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↑さすがの八剣志もビックリの攻撃。斬鉄の目はとても力強いです。
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 ↑うわっ、これは凄い。斬鉄とっては危機一髪でした。目元スレスレです。
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↑これは左角が当たったのでしょうか。さすがの八剣志も、ちょっと痛そうです。
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取組終了まで、集中力を切らすことなく頑張りました。斬鉄は最後までこれです。
(1D X /EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM)
by keiji_takayama | 2019-11-07 00:49 | 山古志闘牛場 | Comments(0)

いつもは中古カメラ店でカメラやレンズを売ってます。休日になると、望遠レンズを担いで各地の動物園や闘牛場で撮影活動。動物たちの表情を追い続け20年が経過しました。旅行会社で撮影ツアー講師を務めています。


by keiji_takayama
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