9/15 山古志闘牛 角蔵号-貴王

第十一回:角蔵号(十二歳/大久保)-貴王(七歳/山古志)

角蔵号。代を数えて5代目です。
小さな頃から闘牛を見ている人にとっては、角蔵といえば横綱牛。
今年の春、五代目を襲名した赤牛です。

まずは貴王が入ってきました。
今年の春、沖縄から導入した黒牛です。
沖縄では体重のクラス別にチャンピオンが決まります。
その中量級、真ん中のクラスでチャンピオンだった名牛です。
そしてあとから、横綱の角蔵号が入りました。

ゲートが締まる音がして、取組が始まりました。
勢子たちの「よしたー」「そらいけ ! 」の声が飛び交います。
まずは頭を合わせながら、双方が相手の出方を伺っています。
角蔵号、先に横から仕掛けようとします。貴王は落ち着いて受けます。
積極的に仕掛ける角蔵号、貴王はタイミングを図って返し技を狙う。
角蔵号は出ようとしますが、貴王が前足をうまく使い、頭を下げながら
受け止めて、その反動で逆に切り返しを狙っている、そんな展開です。
貴王、ケンカがうまい。角蔵号は馬力で仕掛けようとします。
角蔵号が入った ! これで場内が盛り上がりました。
勢子の声も一段と大きくなります。貴王は落ち着いてこれを受けます。
今度は貴王が、左角を使って掛けながらじわりじわりと前に出る。
角蔵号、大きな動きで仕掛けます。
しかし貴王は左角で、角蔵号の右角の根元を的確に当てていきます。
見た目の派手さはないのですが、貴王の角をコントロールする正確さ、
角蔵号の馬力、パワー。このあたりが見どころになっています。
勢子の掛け声が交差します。客席からは、「がんばれがんばれ」の声。
そして勢子が走る音、「向こうもだよ ! 」と指示が飛びます。
両牛の鼻を勢子が取り、引き分けになりました。
隣のグループは「いい闘いだった」と余韻に浸っているようです。
終了後、牛は互いに相手を意識しながらの引き回しです。
先に貴王、後から角蔵号の順に引き上げました。

トータルカットは193。やっぱり多いですね。
開始直後は席から割と近いところで組んだので、かなりアップに。
果敢に攻めようとする角蔵号と、それを受ける貴王が撮れていました。
角蔵号は表情にも力が入っていますが、貴王はポーカーフェイス。
このあたり、さすがは沖縄のチャンピオンですね。
ちなみに、沖縄の闘牛は勝ち負けを決める完全決着制です。
闘志を失って逃げる、技をかけられて動けなくなると負けになります。
また、制限時間がないのでスタミナ勝負の側面も持っています。
そうした環境で闘ってきたと思われる貴王、今後も注目したいです。
ずっと表情を変えなかった貴王ですが、攻撃に転じてもそれは変わらず。
むしろ角蔵号のほうが、やや面食らったような感じでした。
中盤から終盤も、お互い一歩も引かないぶつかり合い。
貴王がときどき瞳をギラつかせることがあり、その都度角蔵号が身構える、
そんな雰囲気も感じました。しかし、さすがは横綱と思わせるシーンも。
角蔵号が貴王を横から攻めて、動きを封じるシーンがありました。
よく見ると、貴王の眉間にキズができて、少し赤くなっています。
角蔵号の攻撃をもらったのでしょうか。
勢子との攻防も、とても迫力がありました。
角蔵号は横綱らしさ、貴王は若いチャレンジ魂を存分に見せてくれました。
※記事作成にあたり、MC勢子・松田さんの解説を参考にしています。

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↑積極的に仕掛けていたのは横綱の角蔵号。貴王はポーカーフェイスでした。
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↑撮影位置から近い場所での攻防。ファインダー内いっぱいの攻防でした。
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↑角蔵号の厳しい攻めに、貴王の表情が変わりました。
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↑貴王はまた元の表情に。角蔵号は何かしら戦略を練っているようです。
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↑この状況でも、貴王は表情を変えません。とても落ち着いています。
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↑貴王の目がカッと見開かれました。角蔵号のほうがちょっと気圧されてる ?
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↑「よぉ、沖縄じゃどうか知らんがな、ここではオレが横綱だ。」若い貴王に教えてる ?
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↑その1分後。貴王はなかなかいい度胸です。そして、ポーカーフェイス。
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↑角蔵号の右角の根元を、左角で当てている貴王。
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↑この無表情は、だんだん脅威に感じるかもしれません。とても冷静です。
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↑砂埃が舞い、貴王が少し顔を顰めています。角蔵号の角が当たったか ?
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↑両牛の意地がぶつかる、いい取組。貴王の表情も強くなってきました。
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↑さすがは横綱。貴王を横から攻めました。貴王の眉間にキズができています。
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↑貴王のこの表情。闘争心の塊のような感じです。
(1D X /EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM)
by keiji_takayama | 2019-09-25 00:49 | 山古志闘牛場 | Comments(0)

いつもは中古カメラ店でカメラやレンズを売ってます。休日になると、望遠レンズを担いで各地の動物園や闘牛場で撮影活動。動物たちの表情を追い続け20年が経過しました。旅行会社で撮影ツアー講師を務めています。


by keiji_takayama
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