取組後に行う引き回し。これは牛を育てる上でも大事な習俗です。
オーナー同士が相手を称え、引き回しをする。
ラグビーで言えば「ノーサイド※」にあたります。
※試合が終われば自陣と敵陣のサイドはなくなり、同じ仲間だという精神。
しかし、牛同士の場合はちょっと話が違います。
相手を見て、「なんだお前強いなぁ」などと目で語り合います。
そして、それぞれ次戦に対しての意地が生まれてきます。
この経験を積んでくると、牛はいよいよ本物になってくるわけです。
ここで牛が入場してきました。まずは充号です。
年齢は四歳ですが、さきほどの飛将よりさらに一回り大きいです。
これから3、4年もすれば、この牛が一番大きく成長するかもしれません。
現在の体重は900kgほど、将来は1,100から1,200まで上がりそうです。
(ここで、そうだよ ! というかのように充号が3回大きく唸りました。)
絶妙なタイミング。そのあと前掻きをして、相手の入場を待ちます。
後から若颯が入りました。今年デビューした若い牛です。
取組開始。
これも前の取組と同じ。
充号は、頭を合わせた時点で相手の若颯が年下と理解しました。
首を出したりしながら、「さぁ攻めてみろ」と様子見のようです。
対して若颯。「やぁ、今日の相手は大きいなぁ。」と考えています。
どうやって攻めようかなぁ。。。
ここから勢子の掛け声が大きくなりました。
勢子は牛の動向を見ています。牛に手を掛け、本気度を上げています。
これに応えるように、若颯が「よし、やるか ! 」徹底的に仕掛けます。
しかし充号は一つ年上。「まだまだ ! 」本気を出していません。
若颯は一生懸命攻めています。横に回って攻め込もうとしました。
今度は充号が「お前やるなぁ」とばかり、力を出していきます。
「はい ! 」「ほらほらほらほら ! 」勢子は声を掛けつつ、綱を持って牛と動きます。
簡単そうに見えますが、牛の動きをちゃんと察知しながら綱を持たないと、
綱に巻き込まれたり、牛の下に入ってしまったり、そんなことにもなります。
勢子が経験を積んで、こうして一緒に動けるようになるのです。
若颯が横に入って、充号を押します。しかし充号はうまく受け止めます。
充号が逆に押し込む。勢子の気合の入った声が飛ぶ。シャッター音も唸る(笑)
若颯は攻めようとする際、横から或いは下から角を使おうとします。
相手が大きい牛なので、正面からは押し込めない、それを知っています。
なんとか自分が優位に立てるように工夫しますが、充号は受け止めて前に。
勢子の判断で引き分けになると、場内は大きな拍手に包まれました。
綱が伸びたあとは、先に充号、あとから若颯が引き上げていきました。
《写真の密着》
何度か闘牛の撮影をして、牛のイメージもそれなりに纏まってきました。
充号は、気合の入った闘牛をする印象が強いのですが、今回もやはりそう。
体が大きいというのも理由かもしれませんが、いちいち迫力があります。
若颯は、「角付きの上手い牛」という紹介の通り果敢に攻めて、でもそれは
闇雲ではなく、いろいろ考え最善と思われる一発を見舞っていたようです。
横から下からの攻撃は、さすがの充号にも表情の変化がありました。
でも充号には年上という意地があるわけで、それは若颯にもきっちりと、
教えていたように感じました。とはいえ、若颯の敢闘精神は見事でした。
これはたぶん狙っていたわけではないと思うけど、若颯の角が充号の目元に
ヒットするシーンもありました。充号、ちょっと怒っているみたいでした。
その後もお互いの攻防は続きます。双方休むことなく攻め続けていました。
そして、若颯の角が充号の角の根元に直撃しているシーンがありました。
これはさすがの充号も、ちょっと痛そう。でもすぐに反撃してました。
双方の持ち味が発揮されたいい取組でしたが、若颯の物怖じしない性格は
きっと今後にもプラスに働くのではないか、そんなことを思いました。
※記事を作成するにあたり、MC勢子・松田さんの解説を参考にしています。
↑若颯、下からの攻撃。なんと充号の目元にヒットしました。これはすごい展開。
↑お互いの角を繋いで、仲良くステップ。。。のわけないか(笑)
↑睨み合い。両牛ともいい目線をしています。
↑横からの攻撃。「うおっっ」 みたいな表情を浮かべました。
↑大きな充号に向かって行く若颯の姿勢には、見習うべきものがあります。
↑若颯の角が、充号の角の根元にヒット! 充号、ちょっと痛そうですね。。。
↑反撃したのかまた角が当たったのか、一体どっちなんだろう。
↑充号の厳しいアタック。若颯はここが正念場でした。
↑またまた睨み合い。それにしても、充号の体は大きいなぁ。
↑双方ともに、力の入った一番でした。
↑体を付ける若颯。いい目をしています。
(1D X /EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM )