不思議な感じもするけれど、なぜか羽村市動物公園で見られる。
珍しさもあって、どうしても何か撮って帰りたかった。そこで、
時間を見計らって何度か立ち寄ってみたのだが、話にならない。
さして広くない檻の中にいるのに加えて、手前の方に台があり、
そこで座っていることが多かった。これはダメだな、そう感じて
そのまま踵を返すことが大半だった。ただ、あまりに悔しいので
あるタイミングで、試しにレンズを通して覗いてみた。すると、
意外にも絵になりそうな雰囲気である。陽が当たっているので、
ちょうど体や顔に檻の影が入ってしまう。しかし、マントヒヒの
存在感、プラス内容によっては帳消しにできるだろうと考えた。
そこで、しばらく狙ってみることにした。マントヒヒは、そんな
ことは歯牙にも掛けない様子。ど〜んと座って外を眺めていた。
開始直後は、とにかくカットを増やそうと試みた。正面を向いた
タイミングとか、親分のような風貌からイメージされる、すこし
コワモテのところとか。だが、キャッチライトが全く入らない。
これがないと弱い、そう感じていた。やがて、それらしい写真が
なかなか撮れないこともあり、また出直そうかと考えていると。
いきなり大あくびを始めた。ファインダーから目を離さなかった
ことが幸いし、これを押さえることができた。檻の黒い影は顔の
中心近くに配置していたので、さほど目立たない。それにしても
面白い表情だと思う。パッと見だけは、モーツァルトのようだ。
マントヒヒは2004年だったかに、羽村で撮影したことがある。
載せるのはおそらくそれ以来だ。これはさすがに嬉しくなる 。
(OM-D E-M1/シグマAPO 120-300mm F2.8 EX HSM )