30年前の150-600mm

150-600mm。シグマ、タムロンからこの焦点域のズームレンズが発売され、
それぞれに人気を博している 。望遠ズームの代表格といえる存在だ。しかし 、
30年前にも同じ150-600mmが存在していたことはあまり知られていない。

それはキヤノンNewFD150-600mmf5.6Lである。1982年8月の発売だ。
ただし、1986年のカメラショーで配布された「カメラ総合カタログ」には、
掲載されていない。つまり、かなりの短命だったことになる。カメラ小僧時代、
イベントにこのレンズを持ってきた強物の知人がいた。そこで初めて実物を見て
まず思ったのは「なんだこりゃ」だった。それまでに抱いていたレンズという
イメージを完全に覆すようなデザインに、大いに驚いたのだった。加えて、その
価格に仰天した。当時の定価は88万円。300mmf2.8Lは47万円だったし、
使っていた500mmf4.5Lは46万円。とにかくとんでもない高値だったのだ。

この150-600mm、全域でf値は5.6である。UDガラスを3枚使っていた。
そして35mm一眼レフ用ズームとしては世界初、インナーフォーカス式を採用
していた。これによって、当時としてはかなりのコンパクト設計だったのだ。
最短撮影距離は3m。現在のタムロンは2.7m、シグマCが2.8mであるから、
この数字だけでも素晴らしい。重量は4,260g。そしてこのレンズの面白さは、
ズーミング操作とフォーカシング操作を1つのノブで行うこと。レンズ向かって
右側にこの操作ノブがあって、ダイヤルをくるくる回してピント合わせを行う。
また、照準の役割も担う把手がレンズの上面にあり、移動の際はここを持った。

たった1度しか見たことのなかったレンズだが、時を経て使う機会に恵まれた。
しかし、かなり長いこと放置されていたのだろう、状態はあまり良くなかった。
それでも、今のレンズではおそらく味わうことのできない「操作する楽しさ」を
感じることができるはずだ、そう思った。実際使ってみると、とても難しい。
ピントを合わせた位置のまま固定させるのが困難だった。しかも、組み合わせた
カメラはマイクロフォーサーズ。135換算は300-1200mmだ。それでも、
ノブを回してじっくり焦点を合わせるのは面白い。ピントというものは「来る」
のではなく「合わせる」のだということを実感できた。これはとても欲しい。
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(OM-D E-M5/NewFD150-600mmf5.6L)
by keiji_takayama | 2015-10-09 06:54 | 多摩動物公園

いつもは中古カメラ店でカメラやレンズを売ってます。休日になると、望遠レンズを担いで各地の動物園や闘牛場で撮影活動。動物たちの表情を追い続け16年が経過しました。旅行会社で撮影ツアー講師を務めています。


by keiji_takayama