ミニ動物園などという名称が付いている場所はあるのだが。水族館が1つだけ、
というちょっと残念なところなのだ。ところが、もう遥か昔のことになるのだが
この県にも動物園と呼ばれる施設があった。まぁ内容は今とそんなに変わらず、
大きなテーマパークの中にあった、というものだが。ひょんなことから知ったが
職場にいる山形出身の同僚に聞いても、その存在は知らないということだった。
無理もないだろう。この施設は「山形ハワイドリームランド」という。1967年
から1971年までの、たった5年間しか営業していなかったのだ。1967年は、
昭和42年。学年ではまさに同級生が誕生した年である 。黒川紀章氏の設計だ。
建物は細胞をイメージしたという。従って、直線がほとんどない不定形だった。
しかもここ、動物園だけではなく水族館、プール、温泉、遊具なども揃っていて
まさに大レジャーランドである。当時は1ドル約360円 。ハワイに行くことは
よほどの金持ちでもない限り不可能であった。そこで、例えばそれが実際と違う
ものだったとしても、「ハワイ」の雰囲気を楽しみたいという庶民の願望が強く
ハワイの名を冠したリゾート施設が姿を現していた、その1つであろう。しかし
競争に敗れるような形で集客が少なくなっていった。そして、経営が傾いたとき
大事件が起きた。飼育動物を、飼育係が園内で射殺処分したのだ。理由は餌代が
捻出できなかったからだという。この一件は事件になり、世間の非難を浴びた。
経営負担を軽くしようとした行為で客を失ってしまうという結果になり、これも
きっかけになって閉鎖。1971年のことだ。経営母体は大赤字だったと思うが、
現在ではこの建物は跡形もない。逆に今日まで続いていれば、動物園と水族館が
一緒になっている、ということでそれなりの注目を集めたはずだ。それにしても
驚いたものである。もし残っていたら、かなり貴重な廃墟だったかもしれない。
AB+ (50D/EF600mmf4L)