かつては写真雑誌に顔出しで毎号広告を載せていた。その後ミニラボをもち、
しばらく話を聞いていないなと思っていたら、ジャンク品専門の店舗もある。
買い取りについてのオリジナル企画などもあり、なかなか楽しそうなお店だ。
そのアローカメラさん。最近になリ「カメラ提供意思表示カード」を始めた。
何か起きた際、所有している機材の売却先をアローカメラに指定するカード。
「これはうまいアイデアだな〜」というのが、率直な感想である。昔とは比較
できないほどの危険が世の中には溢れている。それは体調も同じことであり、
万が一何かあったとき、残されたカメラやレンズがどうなるのか・・・という
問題提起でもある。事実、店の買い取りでは「遺品処分」という理由も多い。
ところが、長く放置されていたのだろう、状態は芳しくないケースが大半だ。
ライカやハッセルなどの高額品、キヤノンのLレンズ。こういう機材を大切に
お使いになっていたと思われるのだが、残念ながらカビだらけという状態も。
こうなってしまうと、当然買い取り価格にも影響がある。修理をしても相場が
追いつかない、部品がない、という現実に直面するからだ。あまりの結果に、
ご家族が涙しながら品物を持ち帰った、そういうシーンを目にした事もある。
こうならないために、そして「文化遺産」としてのカメラをみんなで大切に、
維持していこうというのが主旨なのである。これは大いに賛同できる。そして
自らも同じなのだ。もし何かあったら・・・。使用しているカメラやレンズは
友人や職場の先輩から借りているものが含まれている。こんなことは、実家の
家族は全く知らない話だ。いい年して結婚もしていないので、それを知るのは
貸している本人と、この記事を読んでくださっている皆さんだけ。さすがに、
何かあってから「返してくれ」とは言いにくいかもしれない。そう思ったら、
機材の出所くらいはハッキリわかるよう、何か残しておくことが必要だろう。
アローカメラさんのカードは、買い取り時や購入時に特典が用意されている。
いつのことになるか不明な「万が一」の時まで、効力を発揮しないのは淋しい
という、なかなか粋な思いが込められているのである。縁起でもない話だが、
大切に使ってきた機材や大好きなカメラのことも、考えるべきであると思う。
AB (OM-D E-M1/Gバリオ100-300mmf4-5.6)