モナリザの流し目

ここ最近チャンスに恵まれていない、そう感じていた。
たぶんそれは今回も変わらないだろう。だから通過しようとした。
ところが、である。
あれっと思ったら、なんとオランウータンがこちらを向いていた。
お客さんの姿が見えず、不思議な気持ちだったのだろうか。
目が合った瞬間、時間が止まったようであった。
でも、ここでオーバーアクションをしてはいけない。
とにかくそのことだけを考え、そっとカメラをセットする。
そっぽを向かれないうちに、静かに急いで撮影しよう。

すると・・・。「なによ、こんな日によくきたわね」
マツコ・デラックス風に、そんなことを言われているような気がした。
すると。
ポートレートのモデルがシャッター音と連携しながら表情を作るように、
目線の向きがくるくると変わるようになった。ちょっとドヤ顔みたいだ。
杉良太郎の流し目のようでもあり、モナリザの微笑みのようでもある。
顔の位置は変わらないのに、視線だけで表情を見せてくれているのか、
そう錯覚するほどであった。時間にして3分、16コマの出来事である。

そして、あらかた撮れたことを確認するかのように、こちらが一息つくと
スラスラとその場を後にしたのであった。スタスタではない。あくまでも、
スムーズかつスラスラな雰囲気なのだ。不思議な、でも楽しい時間だった。

というわけで、こんなカット。流し目をしているモナリザのようである。
モナリザの流し目_b0016600_23213319.jpg

AB (30D/EF600mmf4L)
by keiji_takayama | 2013-10-17 23:21 | 多摩動物公園 | Comments(0)

いつもは中古カメラ店でカメラやレンズを売ってます。休日になると、望遠レンズを担いで各地の動物園や闘牛場で撮影活動。動物たちの表情を追い続け20年が経過しました。旅行会社で撮影ツアー講師を務めています。


by keiji_takayama
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